神戸市東灘区の小児科・アレルギー科ならばやしこどものアレルギークリニック

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NAC隊長のソロ活動SOLO WORK

エピペンは”お守り”じゃない!!④

要するに、エピペンを“お守り”と考えている人はエピペンの効果がわかっていないのです。

とは言え、使ったことがない人に効果が分かろうはずもありません。

正直に打ち明けますが、NAC隊長だって、エピペン(アドレナリン)の効果をはっきりと実感し、適切に使えるようになったのは開業してからです。

勤務医時代は、お子さんが強いアナフィラキシーを生じても自分をサポートしてくれる医師や看護師が複数いたので、「まだアドレナリンを使わなくてもなんとかなりそうだ」と思えたのです。いざとなればそのまま入院して治療することだって出来たからです。

でも、開業してからは、医師は自分ひとり、看護師も2~3人(それでもいてくれるだけでとても心強いです)。

「これ以上悪くなったら、ここでは対応できない」という状況が見えるからこそ、勤務医時代に比べて早めの対応が出来るようになりました。

結局、その感覚が、医療者でない親御さんやお子さん本人がエピペンを使うべきタイミングと一致していたのです。

そう、早めの対応がキーワードなのです。

エピペンは”お守り”じゃない!!③

ときどき、「エピペンはお守り代わりに持っています」という方がおられます。

また、「お守りとして持っておきなさい」と言って処方する医師がいます。

エピペンってお守りのように持っているだけで何かご利益があるのでしょうか?

普段持ち歩かず、祭壇に祀っておいてなにかご利益があるのでしょうか?

エピペンを使用することは思いもよらない誤食で強い症状が出たときに、つらい症状を速やかに軽減してくれる唯一の手段です。

NACでは食物経口負荷試験を行っています。なるべく安全に行いたいのですが、時として強い症状が出てしまうことがあります。

猛烈にお腹が痛くなる、痒くて痒くてかきむしってしまう、聴診器で胸の音を聞くとキューって聞こえる・・・。

そんなときにエピペン(NACで実際に使うのはエピペンの中身であるアドレナリンという薬剤ですが)を使うとものの数分で症状が消失してしまうことを幾度も経験しています。

 

 

 

エピペンは”お守り”じゃない!!②

今年の4月までNHKで放送されていた『カムカムエブリバディ』というドラマで、大部屋俳優の伴虚無蔵さんが、ヒロインの大月ひなたに対して「日々鍛錬し、いつ来るともわからぬ事態に備えよ」と言っていました。

「エピペンを使う」という行為がまさにこれ。

お子さんに食物アレルギーがあると親御さんは普段から買い物や外食でしっかり注意を払っておられることと思いますが、時に思いもよらない食材にアレルゲンが入っていて重い症状が出てしまうことがあります。

そんなときに「エピペン、どう使うんだっけ?」などと戸惑っていては、お子さんはどんどんしんどくなる一方です。

エピペンを手にしたら、条件反射的に正しく使えるようにしておかなければ、持っている意味はありません。

 

エピペンは”お守り”じゃない!!①

いつになく強い口調のタイトルで。

 

食物アレルギーがあるお子さんの中にはエピペンをお持ちの方もおられるかと思います。

エピペンとは、原因食材を食べて強いアレルギー症状が出たときに使用するアドレナリンの自己注射薬のことです。

薬剤としての使用期限がおおよそ一年なので、毎年継続処方されることが多いのですが、その際NAC隊長が必ず確認しているのはその使い方。

処方されたエピペンについてくる練習用“エピペントレーナー”を親御さんに渡して「使ってみてください」。

すると多くの親御さんが「え?え?どう使うんだっけ?」と側面に書いてある使用説明図を見始めます。

その時点で OUT!

食物アレルギーのある学童に向けたNACの取り組み⑥

今、食物アレルギーに対する企業の取り組みが進んできて、多くのファーストフード店のホームページでは、個々の商品に含まれる特定原材料7品目とそれに準ずる21品目含有の有無が掲載されています。

食物アレルギーのあるお子さんにとって嬉しい状況になってきています。

でも、食物アレルギーへの対応も時代と共に変化して、かつてはアレルギーがあれば原則「完全除去」とされていた対応が、今は「安全に食べられる量は食べる」に変わっています。

「含むか含まないか」だけの表示は「完全除去か否か」という時代の医療にようやく追いついただけで、今の医療には追いつけていない、と考えることも出来ます。

実現には多くの課題があるのかもしれませんが、企業の表示も「含むか含まないか」から「どれくらい含むか」に進んでくれるといいな。

 

というお話を研究会でしました。

「社会的に意義のある取り組みだ」と評してくれた先生がおられました。

まさにNACの理念である「その社会的使命を自覚して新しい知見を得る努力を怠らない」に沿った取り組みです。