異常に暑い2024年の夏もそろそろ終盤。
NAC隊長この夏いちばんの思い出は、こどもたちのアレルギーキャンプに参加したことです。
LFA(livingwithfoodallergy)という団体が主催する、食物アレルギーがあるこどもたちが彼らにとっての“食の安全”を学ぶためのキャンプで、NAC隊長はその見守り役として参加しました。
この団体のことは前から知っていたのですが、なかなか接点がなく関わることがありませんでしたが、7月の学会で代表者の方とあいさつを交わしたところでした。
開催の二日前に、参加予定だった医師の一人がコロナウイルスに罹患してしまい、急遽その代役としてお声がかかったというわけです。
日曜日、何も予定がなかったわけではありませんが、開業してからの方針として「医師としての自分への依頼は極力断らない」ことにしていますので、予定を調整して引き受けました。
参加者は小学3年生以上の小学生、高学年になったら経験する自然学校や修学旅行を無事に過ごす力を養うことが目的だそうです。
主に関西在住のこどもたちですが、中には愛知県から参加している児童もいました。みんな初対面だっただろうに、こどもたちはすぐに打ち解けていました。
そして外でバーベキュー。子供たちは暑さ対策に慣れていて、帽子はもちろんのこと、日差しよけのための薄い長袖パーカーや虫除けスプレーを準備していました。一方NAC隊長はといえば、半袖Tシャツにハーフパンツ、帽子なんてありません。
「ああ、昼間は涼しい屋内で仕事をしている僕みたいな大人が、こういうとき熱中症になるんだな」と自分が熱中症のハイリスクであることを学びました(笑)。
使用する食材はさまざまなアレルギーに配慮されたものばかりでしたので、誤食事故が起こる可能性は限りなく低いのですが、普段と異なる場所で緊張して体調を崩すこどもが出ないとも限りませんので、自分がいる意味はあるのかなと思いました。
なにより、アレルギーを気にせずみんなといっしょに食べられる機会を得たこどもたちは本当に楽しそうでした。
NAC隊長がいちばん気になったのは、参加者名簿に記載された、アレルギー症状出現時の内服薬と対応方法。原因食材は違えど、同じ食物アレルギーという疾患なのに、処方されている薬や症状出現時の対応がてんでバラバラなのです。特に気になったのはステロイドの処方。
「強いアレルギー症状が出たら内服」と指示されている子がいましたが、そもそもステロイドは即効性がありません。「強いアレルギー症状」が出たら、まずは即効性があるエピペンを使用すべきです。
ここから見えてきたのは、食物アレルギーって、「どこにかかるか」、もっといえば、「誰にかかるか」で、日々の対応や暮らしやすさに大きな違いが出てきてしまうということ。
本当はもっと食べられるのに十分な検査をされずに制限を余儀なくされていることがあるかもしれません。
食物経口負荷試験のやり方を工夫すればもっと食べられるかもしれません。
エピペンを使用するタイミングを見直せば誤食しても強い症状に至らず済ませることができるかもしれません。
国は「アレルギー診療の均霑化(どこにいても標準的な治療が受けられること)」を目指していますが、現状はまだまだだなぁと感じます。
とにもかくにもこのアレルギーキャンプ、終了後のアンケートですべての子供たちが満足して、「また参加したい」と答えていました。
素晴らしい。NAC隊長もまた参加したいです。