神戸市東灘区の小児科・アレルギー科ならばやしこどものアレルギークリニック

神戸市東灘区本山中町4丁目13番15号ご相談 078-412-7925

NAC隊長のソロ活動SOLO WORK

講演活動報告

NAC隊長は東灘区医師会で学校保健部の理事を務めています。

この学校保健部が主催するいちばんのイベントとして毎年9月の第1木曜日に「東灘区学校保健協議会」を開催しています。

ここではこども園および学校の養護教諭を主な対象として、現在の小児・児童の医学的問題の解決のヒントになるような講演を、その問題を専門的に診療している区内の医師にお願いしています。

今回は4年ぶりにリアル開催、6年ぶりにアレルギー疾患の解説ということで、司会を務めるNAC隊長自らが講師として講演を行いました。

冒頭、「司会もやって講演もして、“自作自演”かよ!」というツカミで参加者の緊張を和らげて、60分間ノンストップで話し切りました。

今回の演題は『食物アレルギー児童への対応を一から見直す ~そのエピペン、本当に必要ですか?~』。

6月30日付の朝日新聞朝刊に『食物アレルギー児童生徒52万人、アナフィラキシー5万人』という見出しの記事が掲載されたことに呼応した内容でした。

食物アレルギーで一般の方に向けた講演となると、決まってアドレナリン自己注射薬(エピペン)の使い方の指導がメインになりがちです。

「エピペンはこんな症状がみられたときにこうやって使いましょう」で終わってしまうのですが、今回の裏テーマは「初めて経験する事態にうまく対応するには?」でした。

多くの学校関係者は実際に症状が出た生徒を見たことがありません。アドレナリン自己注射薬(エピペン)の使い方は知っていても、具体的にどのタイミングで使うのかをイメージすることは難しいという声をよく耳にします。

そこで今回は、NACで経験した事例の中でアドレナリンを投与して事なきを得たケースの診療の流れを時系列で紹介し、「ここ!」というタイミングを具体的にイメージできるようにしてみました。

NACでは年間のべ300例以上の食物経口負荷試験を行っています。なるべく症状が出ないよう心掛けているのですが、時に強い症状が誘発されてしまって冷や冷やすることがあります。

けれども、アドレナリンをいいタイミングで使用することが出来れば、症状の進行に歯止めをかけることが出来ることがわかってきて、勤務医時代よりも成長出来ていると感じています(慢心は禁物ですが)。

また、自宅で食べて症状が出てしまったということで急遽来院されるケースでは、症状がより重篤で、即座にアドレナリンを投与することがあります。

そんな事例をいくつも経験しているので、実体験を聴講者のみなさんと共有することで初めて経験するアレルギー症状にうまく対応出来るよう心の準備をしていただきました。

講演後のアンケート結果を見ると、参加者46名中44名が「とてもよく理解できた」と答えてくださり、いい講演が出来たかなぁと嬉しくなりました。

ちなみに残り2名の方は「まあまあ理解できた」「無記載」が1名ずつでした。けれど、この方たちも、内容への感想には「ずいぶん勉強になった」というようなことを書いてくださっていて、決して聴講者を置いてけぼりにするような講演ではなかったと安心しました。

このアンケート結果を見た日の夜、変な夢を見ました。

夢の中で「あなたの講演はどうしていつも好評なのですか?」とインタビューされました(だれがインタビューしているの?)。

それに対してNAC隊長は「聴く人のことを考えて講演内容を考えているからでしょうかねぇ・・・」と答えていました。

なんちゅう具体的な夢か!と起きてからビックリしましたが、まあそういうことです。

ひとつ講演するにも準備に多大な時間を要し、なんだか「休みの日も仕事している状況」な気がしますが、聴いてくださった方々のお役に立てたと実感出来ればやりがいが生まれます。

それが日々の診療へのモチベーションアップにもつながるので、頼まれたらまた引き受けてしまうのでしょうねぇ・・・。

4回目の夏

多可町で講演をしてきました。

2020年に初めて当地で講演してからこれで4回目になります。

ありがたいことに、「昨年も好評だったから」と今年も依頼を頂きました。

多可町、遠いのです。車で1時間半近くかかります。昨年は帰りに豪雨に見舞われて、生きた心地がしませんでした。

今年は幸い行きも帰りも好天でしたが、最近は若いころあれほど好きだった車の運転が億劫になりつつあります(年のせい?)。

講演時間は90分。途中に休憩をはさむことなくひたすらしゃべり続けましたが、50人近くの聴講者だれひとり居眠りすることなく最後まで聴いてくださいました。

一昨年にも書きましたが、毎年同じ内容を講演すればラクだとわかっています。

一回聴いただけで頭に入らないこともあるので、毎年同じ内容で講演する意義はあるでしょう。

でもやっぱり、「去年と同じじゃないか」と思われてしまうと眠たくなってしまうと思うのです(少なくとも自分はそのタイプです)。

今年は忙しくて、イチからスライドを作り始めたものの間に合わないかも、という状況でした。

そこで、2019年に他の自治体で講演したスライドを見返してみたらなかなかいい内容で、「これの数字をアップデートすればラクじゃないか」と思ってその方針で行くことにしました。

ところがやっぱり、やり始めると「ここはこうしたい」「ここはこうじゃなきゃ」となって、結局ほぼ全部のスライドを修正して、完成したのは前日の夜でした。

講演では、最初の挨拶で「たまには違う人の話を聴くのもいいですよ」と自虐的なことを言いながらも、「『NAC隊長の方がよかった』と思ってもらえたらガッツポーズですけどね」なんて矛盾したことを言ってしまいました・・・。

今年のテーマは「初めて経験する場面で正しく対応できるようにする」です。どんな場面であれ、初めて経験する場面でうまく対応出来ることって少ないと思うのですが、学校現場ではそれを求められます。

具体的にはエピペンを打つタイミングってことなんですが、講演後のアンケートを見ると手ごたえはあったように思います。

アレルギー診療に従事する者として、学校現場へ知見をフィードバックすることは大事な使命です。でもやっぱり、準備は大変。

来年もお声がかかるのかなぁ・・・。

 

 

 

アレルギー疾患療養指導士

一般社団法人 日本アレルギー疾患療養指導士認定機構 という組織がありまして、この組織がアレルギー疾患療養指導士(CAI)という資格を持つ医療従事者を認定しています。

この機構のホームページによると、『CAIは、喘息やアトピー性皮膚炎などアレルギー疾患の治療や管理に関する専門知識を有し、患者さんや家族への指導スキルを兼ね備えたコメディカルスタッフです。』とあります。

要するに、NAC隊長の診療業務を大きくサポートしてくれる資格、というわけです。

これまでNACにはこの資格を持つ看護師が2名いましたが、先月新たに2名の看護師が資格試験に合格し、併せて4名になりました。

NACに来てくださるたくさんのお子さんのアレルギーの悩みを解決すべくサポートする中で、スタッフ一同日々成長していると感じます。

その結果としてCAI資格試験合格がありました。

これからさらにきめ細やかな医療を提供できるよう精進いたします。