NAC隊長は東灘区医師会で学校保健部の理事を務めています。
この学校保健部が主催するいちばんのイベントとして毎年9月の第1木曜日に「東灘区学校保健協議会」を開催しています。
ここではこども園および学校の養護教諭を主な対象として、現在の小児・児童の医学的問題の解決のヒントになるような講演を、その問題を専門的に診療している区内の医師にお願いしています。
今回は4年ぶりにリアル開催、6年ぶりにアレルギー疾患の解説ということで、司会を務めるNAC隊長自らが講師として講演を行いました。
冒頭、「司会もやって講演もして、“自作自演”かよ!」というツカミで参加者の緊張を和らげて、60分間ノンストップで話し切りました。
今回の演題は『食物アレルギー児童への対応を一から見直す ~そのエピペン、本当に必要ですか?~』。
6月30日付の朝日新聞朝刊に『食物アレルギー児童生徒52万人、アナフィラキシー5万人』という見出しの記事が掲載されたことに呼応した内容でした。
食物アレルギーで一般の方に向けた講演となると、決まってアドレナリン自己注射薬(エピペン)の使い方の指導がメインになりがちです。
「エピペンはこんな症状がみられたときにこうやって使いましょう」で終わってしまうのですが、今回の裏テーマは「初めて経験する事態にうまく対応するには?」でした。
多くの学校関係者は実際に症状が出た生徒を見たことがありません。アドレナリン自己注射薬(エピペン)の使い方は知っていても、具体的にどのタイミングで使うのかをイメージすることは難しいという声をよく耳にします。
そこで今回は、NACで経験した事例の中でアドレナリンを投与して事なきを得たケースの診療の流れを時系列で紹介し、「ここ!」というタイミングを具体的にイメージできるようにしてみました。
NACでは年間のべ300例以上の食物経口負荷試験を行っています。なるべく症状が出ないよう心掛けているのですが、時に強い症状が誘発されてしまって冷や冷やすることがあります。
けれども、アドレナリンをいいタイミングで使用することが出来れば、症状の進行に歯止めをかけることが出来ることがわかってきて、勤務医時代よりも成長出来ていると感じています(慢心は禁物ですが)。
また、自宅で食べて症状が出てしまったということで急遽来院されるケースでは、症状がより重篤で、即座にアドレナリンを投与することがあります。
そんな事例をいくつも経験しているので、実体験を聴講者のみなさんと共有することで初めて経験するアレルギー症状にうまく対応出来るよう心の準備をしていただきました。
講演後のアンケート結果を見ると、参加者46名中44名が「とてもよく理解できた」と答えてくださり、いい講演が出来たかなぁと嬉しくなりました。
ちなみに残り2名の方は「まあまあ理解できた」「無記載」が1名ずつでした。けれど、この方たちも、内容への感想には「ずいぶん勉強になった」というようなことを書いてくださっていて、決して聴講者を置いてけぼりにするような講演ではなかったと安心しました。
このアンケート結果を見た日の夜、変な夢を見ました。
夢の中で「あなたの講演はどうしていつも好評なのですか?」とインタビューされました(だれがインタビューしているの?)。
それに対してNAC隊長は「聴く人のことを考えて講演内容を考えているからでしょうかねぇ・・・」と答えていました。
なんちゅう具体的な夢か!と起きてからビックリしましたが、まあそういうことです。
ひとつ講演するにも準備に多大な時間を要し、なんだか「休みの日も仕事している状況」な気がしますが、聴いてくださった方々のお役に立てたと実感出来ればやりがいが生まれます。
それが日々の診療へのモチベーションアップにもつながるので、頼まれたらまた引き受けてしまうのでしょうねぇ・・・。