神戸市東灘区の小児科・アレルギー科ならばやしこどものアレルギークリニック

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お知らせINFORMATION

2024年食物経口負荷試験のまとめ

年末恒例となりました、1年間の食物経口負荷試験結果のまとめです。

NACでは、食物アレルギーのあるお子さんが安全に食べられる量を明らかにして、家庭での食事の時間を安全に楽しんでいただくことを目的としてこの検査を行っています。

リスクのある食物経口負荷試験を少しでも安全に行うには合併する他のアレルギー疾患(アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎)をきっちり管理して、いい状態にしておく必要があります。

このため、食物アレルギーに関わり、食物経口負荷試験を行うことはNAC隊長だけでなくスタッフみんなのスキルアップにつながっています。

2024年はのべ333人に食物経口負荷試験を行い、56人に何らかの症状を認めました。

実施数は昨年より増えました。

鶏卵171名、牛乳70名、小麦29名、大豆7名、ソバ4名、クルミ15名、ヘーゼルナッツ7名、ピーナッツ6名、アーモンド5名、カシューナッツ1名、エビ2名、魚5名、ホタテ、マスタード、トウモロコシ、ゴマ、大麦、スイカ、山芋、キウイ、ワイドシリン(抗菌薬)各1名と、今年もいろいろな食材で行いました。

アドレナリンの筋肉注射が必要だった方は3名で、いずれも症状の進行を抑えることが出来ました。アドレナリンを使用するタイミングは年々よくなっていると感じます。

2019年ごろからクルミとカシューナッツのアレルギーが増加しています。負荷試験を行うことが増えていますが、実は院外で誤食して症状が出てから受診される方も増えています。その場合は、負荷試験と違って摂取量がコントロールされていないため、ほとんどのケースで重い症状を呈しており、アドレナリンを使用しています。

特にクルミは和食洋食、和菓子洋菓子、ドレッシングなど様々な食品に使用されており、誤食の頻度が高い食材です。クルミアレルギーがあってエピペンを処方されているお子さんがいるご家族は、普段からエピペンの使い方を把握して、外食や中食の際は必ず使用の有無を確認するようにしてください。外食時にエピペンを携帯していない場合はその外食は断念する、くらいの対応が必要です。

講演活動報告

最近、ふと思いました。

「開業してから講演活動をしている医師ってどれくらいいるのだろう?」と。

 

尼崎市小児科医会でアレルギー性鼻炎について講演しました。

web配信のため、聴いてくださった先生方の反応は見えないのが残念でしたが、配信会場で座長をしてくださった先生から「先生の診察は楽しそうですね」と言っていただけました。

内容はアレルギー性鼻炎に対するダニ舌下免疫療法の効果について、「舌下免疫療法はこどもたちをhappyにしているのか?」というタイトルでお話しました。

現在、舌下免疫療法は季節性のスギと、通年性のダニに対して適応があります。

スギは毎年決まった時期に飛散があるため治療開始してからの効果がわかりやすいのですが、生活環境に通年存在するダニに対する治療は効果が見えにくいという問題があります。

血液検査や鼻汁の検査、症状スコアの推移などの効果判定指標を検討した論文がありますが、「本人の満足度」といういちばん大切なものが見えてきません。

そこに対してNAC隊長がどのようにアプローチしているかを講演でお伝えしました。

それが奏功してかどうかわかりませんが、3年前にNACで舌下免疫療法を始めたこどもたちの8割近くが今も定期的に通院して治療を継続してくれています。

途中で通院をやめてしまわれた方が1割強おられます。この方たちはあまり効果を実感できなかったのかもしれません。毎日続けるのがつらくなってしまったのかもしれません。

それでも、しばらくの間、がんばって治療を続けられたことには自信をもってもらえればいいなと思います。

 

冒頭の疑問に対して、講演で座長を務めてくださった先生が、「開業してから講演するネタがある人は少ないのでは?」とご推察くださいました。

確かにそうかもしれません。

 

すでに来年も4つの講演や発表が決まっています。

対象は医師だったり看護師だったり一般の方だったりと様々です。

こうした講演や発表はすべて依頼があって取り組むものです。

アレルギー診療に真摯に取り組むことで多くの経験をさせてもらい、開業してから8年が経とうとしているにもかかわらず、まだまだ成長できている実感があります。

 

兵庫県アレルギー疾患準拠点医療機関として、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、気管支喘息、アレルギー性鼻炎だけでなく、難治性のじんましんや薬剤アレルギーに対しても適切な診断と最適な治療を提供していきたいです。