2022年もコロナ禍が続く一年でした。
そんな中でもNACでは、食物アレルギーのあるお子さんが安全に食べられる量を明らかにするため、のべ333人に食物経口負荷試験を行い、51人に何らかの症状を認めました。
2022年はコロナ第7波で多くのこどもが感染したため予定していた負荷試験をキャンセルせざるを得なかった方が多く,実施数は昨年より少なくなりました。
鶏卵168名、牛乳80名、小麦40名、クルミ2名、カシューナッツ3名、ピーナッツ4名、エビ3名、カニ1名、魚8名、ほかにもいろいろな食材で行いました。
アドレナリンの筋肉注射が必要だった方は1名ですが、重症化への進展を防ぐために使用したものでした。
食物経口負荷試験は食べたら症状が出るかもしれない食材や以前食べて症状が出た食材を食べてもらう検査ですので、リスクがあり、クリニックで行っているところはまだまだ少ないのが現状です。
一方で、食物アレルギーの診療はこの検査を抜きにしては出来ません。
「絶対安全」な食物経口負荷試験はありません。どれだけ経験を積み重ねても、症状を起こしてしまうケースを0にすることは出来ませんし、0はあり得ないと思います。
それでもNACがこの検査を行うのは、ご家庭での食事は“安全で楽しい時間”であってほしいと願うからです。
「もしかしたら症状が出るかもしれない」食品を恐る恐る食べる時間が楽しいわけがありません。食事の時間が“実験”や“緊急事態”になってほしくありません。
NACで経口負荷試験を行うことで、その時点で安全に食べられる量を明らかにして、家庭では限られた範囲で楽しい食事の時間を過ごしていただきたい。
外食でも、「これなら食べられる」という食材をはっきりさせることで家族や友人と今まで以上に楽しい時を過ごしてほしい。
リスクはNACが背負います。
食物経口負荷試験の経験を重ねるにつれ、この決意がますます固まってきました。私たちがこの検査を行う意義もそこにあると考えます。
2023年もスタッフ一同、慢心せず、慎重に対応していきます。
新年は1月5日(木)から通常通り診療を開始します。
みなさん、安全で楽しい年末年始を過ごしてくださいね。