四十数年前の食物アレルギー!?
じんましんは非常によく見られる症状で,一生に一度は経験すると言われています。
原因がはっきりわかることは非常に少ない中で,食物アレルギーの症状として出ていることもあるかもしれません。
四十数年前の夏休み,小学3年生だったNAC少年が夕食後に宿題をしていたら,首がかゆくなってきました。親に見てもらうと赤い発疹が出来ていました。
「蚊にかまれたんだな」と思い,ムヒを塗って勉強を再開したところ、みるみるうちに発疹が増えていき,ムヒを塗ったくらいでは追いつかなくなりました。
「なんじゃこりゃ?」と思いましたが親からは「じんましんだろう」と言われ、その日の夜をどう過ごしたのかは記憶がありませんが,翌日に受診したのを覚えています。
診察した医師からも「じんましんでしょう」と言われて終わったように思います。
でも、実は当日の夜、NAC少年は生まれて初めてお茶漬けを食べていたのでした。
食べず嫌いが多いNAC少年でしたが、テレビでお茶漬けのCMがよく流れているのを見て、ちょっと食べてみようかなと思ったのでしょう。
冷凍庫に入っていた鮭フレークを使って鮭茶漬けを作ってもらい、初めて食べたのでした(味は覚えていません)。
この当時、だれからも食物アレルギーを疑われることはありませんでした。
NAC少年は「僕は鮭茶漬け食べたら湿疹が出るんだ」と思い込み、以後、20代になるまでお茶漬けは食べませんでした。鮭そのものは除去することなく食べていましたけれども。
今、医師となり、アレルギー専門医として考えると、この症状はおそらく食物アレルギーによるものではなく、鮭フレークに多く含まれていた“ヒスタミン”という物質によるものだったのだろうと推測しています。ただ,いわゆる『ヒスタミン食虫毒』はマグロ,ブリ,サンマ,イワシなどの赤身魚の摂取による発症が多いようなので,もしかしたらもっと別の原因があったのかもしれません。
いずれにしろ,何かを食べてから二時間以内に出現した症状に対して医師から食物アレルギーの関与を疑われなかったために、自己判断で除去してしまうという結果となってしまいました。
四十数年前は,食物アレルギーのあるこどもたちには生きづらい世の中だったのだろうなぁと想像します。