神戸市東灘区の小児科・アレルギー科ならばやしこどものアレルギークリニック

神戸市東灘区本山中町4丁目13番15号ご相談 078-412-7925

お知らせINFORMATION

講演報告

とある製薬会社の神戸営業所の社員研修でアトピー性皮膚炎について講演しました。

2021年にも同じ企画で講演していますが、今回の内容は全く異なるものになりました。

タイトルは「アトピー性皮膚炎診療の近未来予想図」。

2018年以降、アトピー性皮膚炎には新しい治療薬が次々に発売され、「これ全部使いこなせている医師はいるの?」という状況になっています(NAC隊長も全部は使いこなせていません)。

そんな治療薬の特徴を自分の頭の中ですっきりまとめるためにも今回の講演はいい機会になりました。新しく薬をうまく使いこなすことで、この先アトピー性皮膚炎の診療は少し変わっていくのだろうなぁという内容にまとまりました。「近未来予想図」とはそういう意味です。

 

こういう講演はこちらから売り込んでいるのではなく、先方から依頼があって引き受けています。

発表のためのスライドは一から作りますし、ひとつひとつの事象に根拠(エビデンス)を示しながら伝えるため文献をたくさん読むことになるので、準備にはとても時間がかかるのですが、自分の知識をアップデートするいい機会になるので、どんなに忙しくても依頼があれば引き受けるようにしています。

今回の内容は自分でもワクワクするくらいうまくまとまったので、発表当日が楽しみでした。

ところが、事件が起きました!

当日の時間を一時間勘違いしていて、それに気づいたのが予定時間を30分すぎた頃。

急いで着替えて駅まで走ってタクシーに飛び乗ったのに運転手さんが土地勘のない人で、話がなかなかかみ合わない。焦る気持ちをなんとか落ち着かせながら会社に到着しました。

予定時間を45分も遅れて始めることになってしまい、講演冒頭は平謝りでした・・・。

 

最近は減りましたが、ときどきNACを「皮膚科」だと思って来院される方がおられます。

それは皮膚科の先生に申し訳がない。NACは「小児科」クリニックで、アレルギー診療を得意にしています。

ではなぜアトピー性皮膚炎を診るのか?

それは、アトピー性皮膚炎があると、将来的に食物アレルギーや気管支喘息、アレルギー性鼻炎といったアレルギー疾患を発症しやすいからです。アトピー性皮膚炎はアレルギーの「入り口」になる疾患。その後のアレルギー疾患の発症を抑えるためにも、小児科医が診る必要があると考えます。

 

食物アレルギー研究会

2月18日(日)、横浜で開かれた食物アレルギー研究会に参加してきました。

「○○学会」と違って「研究会」なので、規模は小さい分、食物アレルギーに特化した内容となっていて、医師だけでなく看護師や栄養士、「食」にかかわる職種の人や学校関係者など幅広い分野から集まってくるので、学会では聞けない内容があったりして楽しい勉強会です。

NAC隊長は静岡県立こども病院で働いていた時にこの研究会に参加(発表もしました)したのを契機に毎年参加しています。当初は昭和大学旗の台キャンパスの講堂が会場だったのですが、年々参加者が増えて手狭になったためか、2018年から横浜のパシフィコ横浜で開かれるようになりました。

個人的には昭和大学旗の台キャンパスの雰囲気が好きだったのですが、トイレは少ないし、お昼ご飯は自分で調達しないといけなかったりで不便なところもありました。

横浜で開かれるようになってからはお昼にお弁当が出るようになって助かっています。

この研究会、内容が面白いのもさることながら、出店している企業が実用的な製品を扱っていて楽しいのです。今回は離乳食用に開発されたフリーズドライ食品が紹介されていて、食物経口負荷試験に使えそうだったので、試供品をもらって帰りました。味もよくてスタッフの評判もいいので採用決定です(笑)。

一日しっかりお勉強したご褒美かわかりませんが、帰りの新幹線でNAC隊長の斜め後ろの席に大ファンの俳優さんが座っていてびっくりしました。

生まれて初めてサインをせがんでみましたが、残念ながらいただけませんでした・・・。

 

2023年食物経口負荷試験のまとめ

2023年はコロナがまあまあひと段落した反動で様々な感染症が流行する一年でした。

そんな中でもNACでは、食物アレルギーのあるお子さんが安全に食べられる量を明らかにするため、のべ315人に食物経口負荷試験を行い、58人に何らかの症状を認めました。

2023年は多くのこどもがコロナ以外の感染症に罹患したため予定していた負荷試験をキャンセルせざるを得なかった方が多く,実施数は昨年より少なくなりました。

鶏卵149名、牛乳91名、小麦34名、ピーナッツ9名、カシューナッツ2名、ヘーゼルナッツ1名、マカダミアナッツ1名、アーモンド4名、ココナッツ1名、エビ3名、魚7名、イクラ1名、タラコ1名、大豆6名、ソバ2名、ゴマ1名、その他1名と、いろいろな食材で行いました。

アドレナリンの筋肉注射が必要だった方は1名ですが、重症化への進展を防ぐために使用したものでした。

 

食べて症状が出た食材を「一年は除去しましょう」はやめましょう。その一年の間に負荷試験を行って食べられる量を増やし、除去不要になってしまうことだってありますから。

子供にとっての「一年」という時間のもつ意義は大きいのです。

一年除去して食べられるようになる保証はありません。安全に食べられる量を食べて、負荷試験を行って増やしても大丈夫か確認してまた安全に食べられる量を食べる。これを繰り返して食べられるようになっていくのです。

NACがこの検査を行うのは、ご家庭での食事は“安全で楽しい時間”であってほしいと願うからです。「もしかしたら症状が出るかもしれない」リスクをご家庭で背負う必要はありません。

リスクはNACに任せて、ご家庭では楽しく食事してください。

 

気になっているのは、まだ除去解除できるほどに食べられるようになっていないにも関わらず、来院が途絶えてしまったこどもたち。

どこかほかの病院を受診して食べられるようになっていたらいいのですが、除去を続けている、もしくは摂取量を制限したままになってしまっているとしたら残念でなりません。

もしこの投稿を目にされましたら、ご連絡ください。

新年は1月4日(木)から診療を開始します。

みなさん、安全で楽しい年末年始を過ごしてくださいね。