神戸市東灘区の小児科・アレルギー科ならばやしこどものアレルギークリニック

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NAC隊長のソロ活動SOLO WORK

4年ぶりに

開院以来、神戸市灘区にある神戸こども初期急病センターに月1回のペースで出務していたのですが、コロナ禍で途絶えてしまっていました。

今年2月から4年ぶりに出務再開となりましたが、4年という時間は大きな変化をもたらします。診療が軌道にのって午後の診察が終わるとくたくたです。4年もあれば年も取ります。4年間の空白ののちにまた夜遅くの診療をするのはなかなか大変です。

続けていればいずれ体が慣れてくる、とは思うのですが・・・。

 

4年ぶりの出務で気づいたのは体力の衰えだけではありません。

夜遅くに受診されるお子さんや付き添いのご家族は、何もこんな夜遅くに受診したいわけではないでしょう。けれども「こどもが熱を出した」「おなかを痛がっている」「食後に湿疹が出てきた」とあれば、心配ですぐにでも診てもらいたいと思うのが道理です。

「こどもが急に熱を出した」は仕方ないと思います。

「おなかを痛がっている」で受診されるお子さんの多くが「便秘」が原因です。親御さんに話を聞くと、「普段から排便時に痛がる。血が出ることもある。かかりつけに相談したら「個性だから」と言われた」なんておっしゃることがしばしばです。

便秘は急に始まるわけではありません。普段からしっかり便が出せていなくて、たまりにたまって生じるので、解決策は便がたまらないように、お薬で治療してあげることです。

なのに、便秘が軽視されてきちんと治療されていないために夜間の受診が生じてしまうという悪循環。

 

NACはアレルギー疾患だけでなく、日常生活をhappyに過ごせなくなってしまう便秘や夜尿症などの診療もきちんと行うことを心掛けています。

講演報告

とある製薬会社の神戸営業所の社員研修でアトピー性皮膚炎について講演しました。

2021年にも同じ企画で講演していますが、今回の内容は全く異なるものになりました。

タイトルは「アトピー性皮膚炎診療の近未来予想図」。

2018年以降、アトピー性皮膚炎には新しい治療薬が次々に発売され、「これ全部使いこなせている医師はいるの?」という状況になっています(NAC隊長も全部は使いこなせていません)。

そんな治療薬の特徴を自分の頭の中ですっきりまとめるためにも今回の講演はいい機会になりました。新しく薬をうまく使いこなすことで、この先アトピー性皮膚炎の診療は少し変わっていくのだろうなぁという内容にまとまりました。「近未来予想図」とはそういう意味です。

 

こういう講演はこちらから売り込んでいるのではなく、先方から依頼があって引き受けています。

発表のためのスライドは一から作りますし、ひとつひとつの事象に根拠(エビデンス)を示しながら伝えるため文献をたくさん読むことになるので、準備にはとても時間がかかるのですが、自分の知識をアップデートするいい機会になるので、どんなに忙しくても依頼があれば引き受けるようにしています。

今回の内容は自分でもワクワクするくらいうまくまとまったので、発表当日が楽しみでした。

ところが、事件が起きました!

当日の時間を一時間勘違いしていて、それに気づいたのが予定時間を30分すぎた頃。

急いで着替えて駅まで走ってタクシーに飛び乗ったのに運転手さんが土地勘のない人で、話がなかなかかみ合わない。焦る気持ちをなんとか落ち着かせながら会社に到着しました。

予定時間を45分も遅れて始めることになってしまい、講演冒頭は平謝りでした・・・。

 

最近は減りましたが、ときどきNACを「皮膚科」だと思って来院される方がおられます。

それは皮膚科の先生に申し訳がない。NACは「小児科」クリニックで、アレルギー診療を得意にしています。

ではなぜアトピー性皮膚炎を診るのか?

それは、アトピー性皮膚炎があると、将来的に食物アレルギーや気管支喘息、アレルギー性鼻炎といったアレルギー疾患を発症しやすいからです。アトピー性皮膚炎はアレルギーの「入り口」になる疾患。その後のアレルギー疾患の発症を抑えるためにも、小児科医が診る必要があると考えます。

 

食物アレルギー研究会

2月18日(日)、横浜で開かれた食物アレルギー研究会に参加してきました。

「○○学会」と違って「研究会」なので、規模は小さい分、食物アレルギーに特化した内容となっていて、医師だけでなく看護師や栄養士、「食」にかかわる職種の人や学校関係者など幅広い分野から集まってくるので、学会では聞けない内容があったりして楽しい勉強会です。

NAC隊長は静岡県立こども病院で働いていた時にこの研究会に参加(発表もしました)したのを契機に毎年参加しています。当初は昭和大学旗の台キャンパスの講堂が会場だったのですが、年々参加者が増えて手狭になったためか、2018年から横浜のパシフィコ横浜で開かれるようになりました。

個人的には昭和大学旗の台キャンパスの雰囲気が好きだったのですが、トイレは少ないし、お昼ご飯は自分で調達しないといけなかったりで不便なところもありました。

横浜で開かれるようになってからはお昼にお弁当が出るようになって助かっています。

この研究会、内容が面白いのもさることながら、出店している企業が実用的な製品を扱っていて楽しいのです。今回は離乳食用に開発されたフリーズドライ食品が紹介されていて、食物経口負荷試験に使えそうだったので、試供品をもらって帰りました。味もよくてスタッフの評判もいいので採用決定です(笑)。

一日しっかりお勉強したご褒美かわかりませんが、帰りの新幹線でNAC隊長の斜め後ろの席に大ファンの俳優さんが座っていてびっくりしました。

生まれて初めてサインをせがんでみましたが、残念ながらいただけませんでした・・・。

 

講演活動報告

NAC隊長は東灘区医師会で学校保健部の理事を務めています。

この学校保健部が主催するいちばんのイベントとして毎年9月の第1木曜日に「東灘区学校保健協議会」を開催しています。

ここではこども園および学校の養護教諭を主な対象として、現在の小児・児童の医学的問題の解決のヒントになるような講演を、その問題を専門的に診療している区内の医師にお願いしています。

今回は4年ぶりにリアル開催、6年ぶりにアレルギー疾患の解説ということで、司会を務めるNAC隊長自らが講師として講演を行いました。

冒頭、「司会もやって講演もして、“自作自演”かよ!」というツカミで参加者の緊張を和らげて、60分間ノンストップで話し切りました。

今回の演題は『食物アレルギー児童への対応を一から見直す ~そのエピペン、本当に必要ですか?~』。

6月30日付の朝日新聞朝刊に『食物アレルギー児童生徒52万人、アナフィラキシー5万人』という見出しの記事が掲載されたことに呼応した内容でした。

食物アレルギーで一般の方に向けた講演となると、決まってアドレナリン自己注射薬(エピペン)の使い方の指導がメインになりがちです。

「エピペンはこんな症状がみられたときにこうやって使いましょう」で終わってしまうのですが、今回の裏テーマは「初めて経験する事態にうまく対応するには?」でした。

多くの学校関係者は実際に症状が出た生徒を見たことがありません。アドレナリン自己注射薬(エピペン)の使い方は知っていても、具体的にどのタイミングで使うのかをイメージすることは難しいという声をよく耳にします。

そこで今回は、NACで経験した事例の中でアドレナリンを投与して事なきを得たケースの診療の流れを時系列で紹介し、「ここ!」というタイミングを具体的にイメージできるようにしてみました。

NACでは年間のべ300例以上の食物経口負荷試験を行っています。なるべく症状が出ないよう心掛けているのですが、時に強い症状が誘発されてしまって冷や冷やすることがあります。

けれども、アドレナリンをいいタイミングで使用することが出来れば、症状の進行に歯止めをかけることが出来ることがわかってきて、勤務医時代よりも成長出来ていると感じています(慢心は禁物ですが)。

また、自宅で食べて症状が出てしまったということで急遽来院されるケースでは、症状がより重篤で、即座にアドレナリンを投与することがあります。

そんな事例をいくつも経験しているので、実体験を聴講者のみなさんと共有することで初めて経験するアレルギー症状にうまく対応出来るよう心の準備をしていただきました。

講演後のアンケート結果を見ると、参加者46名中44名が「とてもよく理解できた」と答えてくださり、いい講演が出来たかなぁと嬉しくなりました。

ちなみに残り2名の方は「まあまあ理解できた」「無記載」が1名ずつでした。けれど、この方たちも、内容への感想には「ずいぶん勉強になった」というようなことを書いてくださっていて、決して聴講者を置いてけぼりにするような講演ではなかったと安心しました。

このアンケート結果を見た日の夜、変な夢を見ました。

夢の中で「あなたの講演はどうしていつも好評なのですか?」とインタビューされました(だれがインタビューしているの?)。

それに対してNAC隊長は「聴く人のことを考えて講演内容を考えているからでしょうかねぇ・・・」と答えていました。

なんちゅう具体的な夢か!と起きてからビックリしましたが、まあそういうことです。

ひとつ講演するにも準備に多大な時間を要し、なんだか「休みの日も仕事している状況」な気がしますが、聴いてくださった方々のお役に立てたと実感出来ればやりがいが生まれます。

それが日々の診療へのモチベーションアップにもつながるので、頼まれたらまた引き受けてしまうのでしょうねぇ・・・。

4回目の夏

多可町で講演をしてきました。

2020年に初めて当地で講演してからこれで4回目になります。

ありがたいことに、「昨年も好評だったから」と今年も依頼を頂きました。

多可町、遠いのです。車で1時間半近くかかります。昨年は帰りに豪雨に見舞われて、生きた心地がしませんでした。

今年は幸い行きも帰りも好天でしたが、最近は若いころあれほど好きだった車の運転が億劫になりつつあります(年のせい?)。

講演時間は90分。途中に休憩をはさむことなくひたすらしゃべり続けましたが、50人近くの聴講者だれひとり居眠りすることなく最後まで聴いてくださいました。

一昨年にも書きましたが、毎年同じ内容を講演すればラクだとわかっています。

一回聴いただけで頭に入らないこともあるので、毎年同じ内容で講演する意義はあるでしょう。

でもやっぱり、「去年と同じじゃないか」と思われてしまうと眠たくなってしまうと思うのです(少なくとも自分はそのタイプです)。

今年は忙しくて、イチからスライドを作り始めたものの間に合わないかも、という状況でした。

そこで、2019年に他の自治体で講演したスライドを見返してみたらなかなかいい内容で、「これの数字をアップデートすればラクじゃないか」と思ってその方針で行くことにしました。

ところがやっぱり、やり始めると「ここはこうしたい」「ここはこうじゃなきゃ」となって、結局ほぼ全部のスライドを修正して、完成したのは前日の夜でした。

講演では、最初の挨拶で「たまには違う人の話を聴くのもいいですよ」と自虐的なことを言いながらも、「『NAC隊長の方がよかった』と思ってもらえたらガッツポーズですけどね」なんて矛盾したことを言ってしまいました・・・。

今年のテーマは「初めて経験する場面で正しく対応できるようにする」です。どんな場面であれ、初めて経験する場面でうまく対応出来ることって少ないと思うのですが、学校現場ではそれを求められます。

具体的にはエピペンを打つタイミングってことなんですが、講演後のアンケートを見ると手ごたえはあったように思います。

アレルギー診療に従事する者として、学校現場へ知見をフィードバックすることは大事な使命です。でもやっぱり、準備は大変。

来年もお声がかかるのかなぁ・・・。